頚椎症・頸部脊柱管狭窄症

頚椎症

【病態】

とりわけ運動と荷重を負担とする椎間関節の退行変性を基盤とし、ルシュカ関節を含む椎体周辺に反応性骨増殖を生じる。

 

それにより、神経根の圧迫、脊髄圧迫、あるいはその両者の合併を生じる。

 

中年以降に好発する。

 

 

【症状】

頚肩背部の凝りや疼痛、運動制限などがみられる。

 

圧迫に伴う神経根症状として、上肢のしびれ、放散痛、知覚異常がみられる。

 

進行すると筋委縮がみられるようになる。

  

 

【理学検査】

中枢性の症状、末梢性の症状を鑑別するために、病的反射や膀胱直腸障害の有無を確認する。

 

陽性所見がみられた場合、専門の医師による治療院を優先させる。

 

陰性の場合、頸椎症鑑別のための理学検査を行う。

 

頸椎症を鑑別する理学検査は、神経根が圧迫された状態をつくり、症状の有無を確認する手法が用いられるため、その加減には細心の注意を必要とする。

 

ジャクソンテスト:頚椎症で陽性

スパーリングテスト:頚椎症で陽性

 

神経根の圧迫が考えられる場合、腱反射や知覚障害の有無などを参考にその高位を割り出す必要がある。

 

 

【治療方針】

神経根周囲の血流を改善させ、炎症の消退と神経機能の正常化を図ると共に頸肩背部の筋の過緊張を除去し、疼痛部位の鎮痛を図る。

 

 

【施術例】

①仰臥位にて、両手で頭部を保持し、棘突起両側の筋、側頸部の筋に対して三指圧を加える。注意点*伏臥位での頸部の施術は、頸椎の前弯を強制させるため行わないこと。

 

②過緊張が緩和した後、頸部の他動運動を行う。

 

③横臥位にて、頸肩背部の諸筋を押圧する。

 

④全身操作を一通り行う。